家族信託を設計する際、必ず頭に入れて置かなければならないことがあります。
「遺留分」と「生命保険」です。
遺留分とは、相続時に遺言によって全く財産を相続できなかった人がいた場合、
「最低限これだけは欲しい」と言える権利のことです。相続人の「これだけはもらえるかもしれない」という期待に対して、ある程度応えるための制度であるといえるでしょう。
家族信託契約を結び、それが遺留分に影響する場合、遺留分を主張することができるのかという問題が発生します。
家族信託が最先端の法律分野であり、まだ裁判になった例もなく、実際裁判になった場合どういう判断がなされるのか、分からないのが実情です。
専門家の意見も分かれており、「遺留分は主張できる」とする人もいれば、「遺留分は主張できない」とする人もいます。
相続対策のために家族信託を考えている場合には、この点についてよく家族間で話し合い、
後のトラブルを防ぐようにすることをおすすめします。
「残された家族の生活を支えたい」など様々な理由で、生命保険に入っていらっしゃる方は多いと思います。
ただ、生命保険に入っているだけでは完璧な相続対策をしたとは言い切れません。
例えば、相続財産に住んでいる家があった場合、それをめぐって親族が揉めることも多々あります。
相続時にもめないよう、不動産をどう運用するのか家族信託で決めておくといった対策をすれば、生命保険ではカバーしきれない部分もカバーできるようになります。
持っていらっしゃる財産を円滑に相続するための方策はさまざまです。 生命保険、家族信託など目的に適した方法を選ぶことが重要です。