信託監督人って?

信託監督人とは

信託監督人とは、
受益者のために、権利行使する権限を持つ人です。
信託監督人をつけることで、受託者の暴走を防ぐことができます。

信託監督人をつけるメリット

まず、受益者が幼い場合や精神障害を負っている場合、受託者の行為が受益者のためになっているのか、チェックすることができません。
このような場合に、受託者監督人を付けることで、受託者が受益者のために権限を行使しているのかをチェックすることができます。
信託監督人を誰にするかは、信託契約のなかで自由に決めることができます(欠格事由に該当する場合を除く)。
信頼できる弁護士などを信託監督人につけることで、受託者を監督する機能をはたすことができるでしょう

信託監督人になるには

まず、信託契約において、信託監督人を定めることができます。
具体的には、委託者と受託者の合意で、信託監督人を誰にするか決めることができるのです。
すなわち、
信託法131条1項によれば

「信託行為においては、受益者が現に存する場合に信託監督人となるべき者を指定する定めを設けることができる。」

次に、利害関係人の申し立てにより、裁判所が選任する場合があります。
すなわち、
信託法131条4項によれば

「受益者が受託者の監督を適切に行うことができない特別の事情がある場合において、信託行為に信託監督人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託監督人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託監督人を選任することができる。」

とされています。

信託管理者とのちがい

信託監督人は、受益者が存在する場合に、選任します(信託法131条1項「受益者が現に存する場合」)。
 これに対し、信託管理者は、受益者が存在しない場合に選任します(123条1項「受益者が現に存しない場合」)

注意点

すでにほかの場所でも触れている通り、家族信託とは、前提として、信頼できる家族を受託者として選任し、その信頼できる方に財産を信託することで、その方によって、受益者のために財産が使われるようにする、という制度です。

信託監督人がつけば、その分、監督される受託者としては「やりづらい」ことになってしまいかねません。
いちいち指図されれば、せっかく引き受けてくださった受託者の方としても、張り合いをなくしてしまうかもしれません。

信託監督人の権限については、信託契約の合意で柔軟に決めることができます。決して、権限が法律で画一的に定まっているという事はありません。
ですから、事案に応じて、信託監督人の権限を広く設定して受益者を守ることもできますし、あえて権限を狭くして、受託者のかたがやりやすいようにすることもありえます。

大切なのは、受託者の方が信用できるかどうか、どの程度受益者と近い関係にあるか、経済的状況はどうかなどを広く考慮して、最適なスキームを構築することです。
このスキーム構築にあたっては、信託に通じた信頼できる専門家の意見をうけることが最短かつ最適の道といえるでしょう。