まず、信託契約も契約である以上、当事者の合意がなければ成立しません。
法律上は、合意さえあれば契約は成立しますが、あとになって紛争が起こることを防ぐため、当然、契約書を作成する必要があります。
契約書を作成するためには印紙税がかかります。
これは専門家に依頼しなくとも発生する費用です。
印紙税は、信託契約の契約書の場合1通200円かかります。
印紙は郵便局や法務局で購入することができます。
印紙税は契約当事者のいずれかが負担すればよいので、 委託者が200円払ってもよいし、受託者が200円払ってもよいです。
ご自身で作成される場合、この印紙税の出費のみで有効に契約書を作成することができます。
200円ということですから非常に安価に抑えられますね。
しかし、専門家の関与なく作成された書面は、後日その有効性が裁判で争われたり、当事者間で「こんなもの作ったはずはない」などともめてしまうことがあります。
専門家の関与なく当事者だけで作った場合、書面は後から改ざんすることもできますので、結局紛争を招いてしまうこともあります。
また、内容面においても、文言が不適切だったり法的にあいまいだったりしてしまうと、意図したとおりの結果にならないこともあります。
そのような事態になると紛争がおきないようにするために契約書を作成したのに何のための契約書なのかわからないことになりかねません。
紛争が起きるとかえって労力を消耗しますし、紛争を防げないなら、印紙税を払った意味もなくなります。
したがって、なるべく、 「契約書を適切に作成する能力のある専門家」 の関与のもと 作成することを強くお勧めします。
ここでいう専門家について、 具体的には、家族信託の制度自体スタートしたばかりなので弁護士ならだれでもよい、ということではなく、信託制度について力を入れて取り組んでいる弁護士であることが必要です。
専門家に依頼して作成してもらう場合、所定の作成費用が掛かります。
これは、専門家との委任契約の報酬という事になりますので、法的には専門家とお客様との間での合意で決まります。
実際には、専門家があらかじめ用意している 作成料の料金テーブルにしたがって費用が決まります。 複数社を検討し、その実績などとも照らし合わせ、 お客様がいちばんリーズナブルだと考える専門家との契約をするとよいでしょう
なお、当社で依頼された場合の料金は以下のとおりとなります。
信託財産の評価額※ | 報酬 |
---|---|
1億円以下の部分 | 1%(3,000万円以下の場合は、最低額30万円) |
1億円超3億円以下の部分 | 0.5% |
3億円超5億円以下の部分 | 0.3% |
5億円超10億円以下の部分 | 0.2% |
10億円超の部分 | 0.1% |
※不動産は固定資産評価額
不動産取得税は、地方税法第七十三条の二により課税されます。
同条第1項によれば、
「不動産取得税は、不動産の取得」に対して課すことになっています。
ここでいう「不動産の取得」とはどのようなものでしょうか?
そもそも、不動産取得税とは、不動産の移転という事実に着目して課されるものです。
したがって、ここでいう「不動産の取得」とは、現実に不動産を取得することであると考えられています。
信託を行う場合、不動産取得税がかかるのでしょうか?
正解は、「かからない」です。
なぜなら、信託は、信託財産を受益権とすることで名義と受益権を分離しています。
名義だけが受託者に移転し、所有権は以前、所有者にとどまるのです。
受託者が現実に不動産を取得したことにはならないので「不動産の取得」がなく、不動産取得税はかからないことになります。
登録免許税法にのっとり、以下の税金が生じます。
【固定資産税評価額】 × 【0.3%】 = 【登録免許税額】
【固定資産税評価額】 × 【0.4%】 = 【登録免許税額】.3パーセント】 = 【登録免許税額】
公正証書で契約書を作成することにより、後日の紛争を回避することができます。
この場合、公証役場の費用が掛かります。