節税になるの?

結論

まず、家族信託を利用することで、相続対策を行うことは可能です

ただし、以下に述べる通り注意点もあります。

注意点――信託を組むこと自体によって節税ができるわけではない。

相続税法2条1項は、相続税の対象についてこのように定めています。

「相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。」

そして、信託に関する特例を定めた9条の2第1項ではこのように定めています。

「当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(中略)により取得したものとみなす。」

結局、信託を利用しても、贈与された場合と同じに、相続税を課税されることになります。

ではどうして相続対策になるのか

将来、認知症を発症すると、成年後見が開始します。
成年後見が開始すると、被後見人の財産は自由に利用・処分することはできなくなります。
被後見人の財産を動かせるのは、後見人が被後見人の生活の維持のために必要だと判断した場合のみです。
したがって、相続対策を行うことはできなくなります。

他方で、信託を利用していたらどうでしょうか。
信託された財産は受益権となり、成年後見の対象とはなりません。
したがって、信託を組んでおけば、認知症になった後も、受託者であるご家族の方が相続税対策を行うことが可能になります。(マンションを建てることなどができます)