信託は契約です。契約は当事者で合意することによって成立します。
ですから、信託は委託者と受託者が合意することによって成立します。
したがって、契約書を交わすことになります。
遺言は単独行為であり、遺言者が遺言することによって成立します。
遺言は方式が民法で定められています(第967条)。
すなわち、自筆証書、公正証書又は秘密証書のいずれかの方式で作成します。
信託の内容は当事者の合意で柔軟に決めることができます。
例えば、
「委託者の死後、財産は長男が相続する。長男が死亡したら、長男の子供に全て相続させる」
というように、二代目以降の相続についても指定することができるのです。
他方、遺言は、自らの相続について指定できるにすぎません。
上記の例でいえば、長男の死後、長男の子供に全て相続させるためには、長男がその旨遺言しなければなりません。
遺言しなければ、法定相続にしたがって相続することになります。
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます(民法第985条1項)。
これに対し、信託は、効力の発生時期も柔軟に決めることができます。
例えば、 「父の生前は財産は父が持つ、財産による収入も父が受け取る。財産の管理自体は長男が行う」というような定めをすることも可能です。
信託契約は契約ですから、いつ効果が発生するのか、終了するのかを柔軟に決めることができます。
これらは契約の内容であり、契約の内容は当事者の合意で自由に決めることができるからです。
信託は契約で遺言は単独行為であるとお話ししました。
これらはいずれも意思表示です。
したがって、意思能力が必要です。
よって、あとから相続人が意思能力を争ってくるリスクが等しく存在します。
このような事態に備えるためにはどうすればいいのでしょうか?
まず、信託契約の場合、公正証書により契約を締結する方法があります。
ただし、公正証書によりなされた契約でも、意思能力が事後的に否定された裁判例もあります。
したがって、長谷川式認知症スケールの利用など、他の手段とも併用して、紛争を予防するのがいいでしょう。
遺言の場合も、意思能力が後から争われるリスクがあります。
公正証書遺言にしておけばこのリスクを低下させることができます。
なぜなら、公正証書遺言は公正証書で作成しますし、二人以上の証人が存在するからです。 (公正証書遺言でも無効となる場合はございます)
公証人役場の費用が掛かりません。
専門家のサポートを受けずに作成すれば費用は0円です。
(ペンと紙だけがあれば作成することができます。秘密証書遺言はワープロで作ることもできます)
専門家のサポートを受けて作成する場合、当該専門家の定めた報酬を支払う必要があります。
100万円まで | 5,000円 |
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200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1,000万円まで | 17,000円 |
3,000万円まで | 23,000円 |
5,000万円まで | 29,000円 |
1億円まで | 43,000円 |